IchiganSoliloquy

現実と創作の狭間で

トラペジウムのカメラとレンズを追いかけていた際に、Bさんのポストが目に止まりました。

『オーバーテイク!』は私も見ましたが、そこまで気にした記憶はありません。自らレース撮影もされるBさんらしい目の付け所に脱帽です。せっかくの機会なので、見直してみました。

オーバーテイク! 第1話より

こちらが、第1話でフォトグラファーの眞賀孝哉がレースを撮影するシーンです。確かに、ファインダー内の描写に枠が見えます。動きからして、AF-Sっぽい挙動ですね。

この枠はオートフォーカスで対象にピントが合わせられるエリアを示したもので、Bさんが書いている通り一眼レフ時代のものです。この場合だと、ファインダー内の9箇所でオートフォーカスが動作します。緑色になっている枠がフォーカスを合わせたエリアで、ちゃんと車にフォーカスが合っていることが分かります。イマドキのカメラだと光を捉える撮像素子とオートフォーカスセンサーが一体化していて、オートフォーカスが動作するエリアは広く多いのですが、一眼レフカメラでは撮像素子とオートフォーカスセンサーが別々で、なおかつオートフォーカスセンサーの数が限られています。この描写だとオートフォーカスは9点ですね。イマドキのカメラだと400点を超えるオートフォーカスセンサーを備えたカメラも珍しくありません。

TVアニメ『オーバーテイク!』ティザーPVより

ではフォトグラファー孝哉の使っているカメラは、というと、イマドキのカメラなわけです。ファインダー内の描写とカメラの描写に差異があるので、確かに気になってしまいますね。こちらのカメラはメーカーロゴが消されているらしく判然としませんが、レンズマウント部分のシナバーレッドからソニーのαシリーズだと思います。数字印刷ありの露出補正ダイヤルと、ファインダーに向かって左側にもダイヤルがあることから、α1かα9シリーズですね。オートフォーカスセンサーが動作するポイントが700点を超える上位機種です。レース撮影に投入するにはぴったり。なおのことファインダー内の描写が惜しく感じます。

『オーバーテイク!』はフォトグラファーが主人公であり、作中では重要な役割を与えられた写真も登場します。本筋と無関係ならともかく、ここはファインダー内の描写にもこだわって欲しかったですね。ただ、時間も予算も有限ですから、諦めや割り切りも必要。伝わるところから逆算して、必要なところに必要なだけのこだわりを投入するのが肝要。

ちなみに「トラペジウム」でファインダー内の描写はどうだったかというと、割といい感じだったと思います。

映画『トラペジウム』公開直前PVより

こちらは東西南北の4人がアイドル活動をする一幕です。雑誌か何かの撮影ですね。使われているカメラの描写はなく機種は不明ですが、オートフォーカスのポイントが移動して、最終的には瞳AFで瞳にピントが合う様子が描写されていました。ホワイトバランスや露出がマニュアル設定になっていて、おそらく光が安定したスタジオのような場所での撮影だと思われます。フォーカスモードがAF-SでシングルAFなのが若干違和感ありますが、瞳を認識するとAF-Cになるカメラなんでしょう、きっと。イマドキのグラビア撮影では瞳AFが多用されている、という話を聞いたことがあるので、このシーンもリアリティーを感じながら楽しめました。

創作に必要なのはリアルではなくリアリティー、いかに「ありそう」と思わせられるか、いかに説得力を持って世界観や出来事を見る人に伝えるかが重要だと言われます。一方で、自分が知識や経験を持っている分野ほど、細かい違いや違和感に気づいて気になるもの。粗探しをするとキリがないですし楽しめないので、違和感はほどほどにして創作の世界を楽しみたいものです。

個人的には、筋書きに直接関係ないこだわり表現も大好物。有名どころではキャベツですね。創作者のこだわりや割り切りを感じながら、創作の世界に浸っていこうと思います。

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