ライドの記録

【晩秋の奥只見ライド】DAY 1:枝折峠を越えろ!燃ゆる紅葉の奥只見湖へ!

はじめに

秋も深まる中、紅葉を見に行きたいと思い立ってライドに出かけてきました。せっかくの機会なので、なかなか行くことが難しい場所を探した結果、奥只見方面へ行くことにしました。

奥只見は新潟県と福島県の県境に位置する秘境です。奥只見ダムのダム湖である奥只見湖や、尾瀬国立公園などみどころがたくさんあります。人里離れた場所にあって輪行エスケープや補給が難しい区間もありますが、入念に準備すれば問題ないでしょう。

奥只見方面には、上越新幹線の浦佐か、会津鬼怒川線の会津高原尾瀬口が最寄り駅になります。計画を立てたときには、すでに会津高原尾瀬口までの特急が満席でした。さすが観光シーズンの尾瀬行きです。そんなわけで、出発は浦佐からに決定です。

浦佐から出発する場合は、距離・獲得標高と自分の走力を考慮すると只見から田子倉経由で浦佐に戻ってくる周回ルートを走るのは難しく、檜枝岐あたりで一泊するか浦佐発着のピストンルートにするかのどちらかです。観光シーズンのためか、檜枝岐の宿泊も確保が難しかったので、最終的に浦佐発着の往復ルートにしました。

普段はあまり往復ルートを走らないので、ちょっとワクワク。旅支度を整えて輪行の準備を整え、いざ出発です。

浦佐から枝折峠へ!

早朝の上越新幹線で浦佐までやってきました。上越新幹線は車両更新が進んでいて、北陸新幹線と同じE7系で運行されています。E7系は東海道新幹線と同じ2列/3列の座席配置で、さらに車両の最後尾にスーツケースが置ける荷物置き場が完備されています。荷物置き場のおかげで車両最後尾の座席後ろにスーツケースを置く必要がなく、輪行用のスペースとして気兼ねなく使うことができました。

新幹線を降りて駅前で輪行解除、ちょうど駅前にあったコンビニで補給食を買い込んで準備完了です。今日のルートは国道352号線を通って奥只見湖まで往復するルートです。奥只見湖周辺は補給ポイントがないため、補給食を多めに買い込んだわけです。

今日の天気は晴れ予報。絶好のサイクリング日和です。まだ見ぬ景色に思いを馳せて、いざ出発。

序盤は国道17号線を進みます。前方は霧がかかっていました。前日まで雨が降っていた影響でしょうか。これから向かう枝折峠は雲海スポットとして有名とのこと。今日も雲海が見られたのかな。

魚野川を渡って先に進みます。

橋を渡った先にも霧が立ち込めています。

朝のひと時だけ見られる光景ですね。これもまた絶景なり。

しばらく進んで、国道352号線に入りました。今日はここをずっと進んで、いい時間になったら引き返す往復ルートです。しばらくはゆるやかな登り基調の田舎道といった趣。

進んでいくと、奥只見シルバーラインとの分岐にやってきました。奥只見シルバーラインは奥只見ダムを建設するための資材を運んだ道路で、全長22kmのうち18kmがトンネルという道路です。奥只見ダムに行くにはシルバーラインを通る他はない唯一のルートです。残念ながら自転車や二輪車は通行ができないため、今回はお預けです。

さらに進むと温泉街を抜けていくことになります。こちらは大湯温泉です。なかなかに魅力的な温泉でした。今回は縁がなかったですが、次は宿泊場所の候補に入れようと思います。

枝折峠へヒルクライム!

大湯温泉を越えてしばらく進むと、人家がなくなり山間部に突入しました。枝折峠まで800mほどのヒルクライムの始まりです。

この辺りの紅葉は色づき始めといったところ。これから標高を上げていくので紅葉のピークに近づいていくはずです。見事な紅葉への期待に胸が高鳴ります。

道の方は、すれ違いに待避所が必要なセンターラインのない道です。広さの方はとても国道とは思えませんが、路面の状態はまずまずといったところ。帰りは夕暮れ時に通過する予定なので、路面の状態を押さえておきます。

しばらく進むと、いよいよヒルクライムです。距離は10km程度、平均斜度は8%程度、斜度の変化は少なく一定のペースで登っていくことになります。

相変わらずセンターラインのない狭い道です。紅葉シーズンだけあって車やバイクがそこそこ行き交うので、注意しながら登っていきます。

オレンジや黄色が鮮やかな紅葉と青い空、気温も20度程度と11月の新潟にしては暖かく、最高のタイミングでした。

ところどころで足を止めて景色を眺めたり写真撮影したりするので、なかなか進みません。

今日は往復ルートなので、ゴールから逆算してほどよい時間になった時点で引き返せば危なげなくゴールできるはず。せっかくの絶景、せっかくの好天、めいいっぱい楽しむとしましょう。

それにしても、岩肌にへばりつくような道です。右手に岩肌が見えている場所が道なんですね。よくもこんなところに道を通したものです。

このような山奥まで自転車で訪れて景色を楽しめるのも、舗装路が通っているおかげ。

先人や関係者の皆様に感謝ですね。

ところどころに、スノーシェッドがありました。今日の暖かさからは想像もできませんが、冬には雪に閉ざされる雪国であることを実感します。

それにしてもいい天気。寒さ対策で真冬装備をしてきましたが、これならもう少し薄着でもよかったかも。

ルートの序盤は東向きに進みますが、途中から南向きに方向を変えます。日が昇るにつれ太陽の位置も変わるので、さまざまな光で紅葉を楽しめました。写真撮影を主にするならじっくり腰を落ち着けて光を読みたいところ。私の主目的はライドなので、ライドの途中、その瞬間瞬間を写し止めることにしています。この日は、車で移動しながらベストショットを狙う方もいて、それはそれで楽しそう。

はるか向こうまで自分の進む道が見えるのも乙なものです。見えていてもなかなか辿り着けない、ということでもありますが。

振り返ると、自分が通ってきた道も見えるわけです。

来し方と行く先が見えるのは僥倖というもの。人生もこれくらい見通しがよいと楽なんでしょうけどね。

景色を楽しみながらペダルを回していると、いつの間にか獲得標高を稼いでいました。眼下に登ってきた道が見渡せます。

場所によっては色づいた木々の間を通ります。木漏れ日の中は雰囲気がありますね。

赤や黄色の色とりどりに色づいた木々が目を楽しませてくれます。

遠くまで山々を見渡せます。向こうに見えるのは越後駒ヶ岳や八海山でしょうか。

愛車の撮影も捗ります。

それにしても、見れば見るほどすごい場所に道を通したものです。まさに秘境。

さらに登っていきます。そろそろピークかな。

枝折峠を降って銀山平を抜けて!

枝折峠のピークに到着です。法面の工事中でしたが交互通行可能でした。このような秘境の道路は工事や通行止めが多いので、事前の情報収集は必須かつ重要。

ピークには駐車場があって、周辺のビュースポットへの拠点にできます。ここの駐車場までトランポしていたサイクリストもいました。ただ、トイレはすでに冬季閉鎖に入っていました。

枝折峠のピークを過ぎると、しばらくダウンヒルです。

これまでと同じく、山肌にへばりつくような道を降っていきます。

このあたりの紅葉はピークを過ぎた感じですね。もう少し早ければ燃えるような紅葉を見られたのかも。

もっとも、この穏やかな晴天だけでも十分楽しめます。

日の当たる角度によって山肌の色が違って見えます。

めまぐるしく変わる景色に、飽きる暇がありませんね。

山道らしいヘアピンカーブやつづら折りも登場します。勾配が急な場所もあるので、慎重に降っていきます。

降りが終わると石抱橋という橋があります。橋の上から一枚。目の前の川は北ノ又川で、実は奥只見湖の端っこです。

ボトルの水が少なくなっていたので、銀山平温泉に寄り道しました。白銀の湯という日帰り温泉の自動販売機でドリンクを補充しました。そのまま温泉に入ってしまいたいところですが、入ったが最後、再出発は不可能でしょう。

奥只見湖の湖畔を進む!

銀山平を抜けてしばらく進むと、奥只見湖の湖畔を進むルートに入ります。通称「樹海ライン」、V字峡谷の山肌を進む絶景の酷道です。

序盤の樹海ラインは奥只見湖から少し離れたところを通っていて、湖を見渡す、というわけにはいきません。ところどころに見晴らしのよい場所があるので、足を止めて景色を楽しみながら進んでいきます。

こちらの紅葉もピークを過ぎた感じですね。

ピークを過ぎたとはいえ、湖面の深い青との対比は美しい。終わりゆく紅葉は、さしずめ滅びの美学といったところか。ピークとは違った印象深さがあります。

こちらはグミ沢のトンネルです。トンネル内部に明かりはないので、ライトが必須。ちなみに奥只見湖には、山からの水流が流れ込む沢が多数存在して、それぞれに名前がついています。グミ沢もその一つ。

なお、沢からの水流は洗い越しになっていて、水流を渡るアドベンチャーライドが体験できます。リムブレーキの場合は、洗い越しでリムが濡れるとブレーキの効きに影響するので注意。今回はディスクブレーキのTCRだったので、特に問題はありませんでした。

奥地に進むにつれ、景色が移り変わります。

湖面の深い青が印象的です。総貯水量では国内2位の大きさで、これが人の営みにより作り出されたとは信じ難い。

湖畔の道とはいえ、V字峡谷の道はリアス海岸と同じく割とアップダウンがあります。登った先は見通しがよくなって絶景が楽しめるわけです。

足を止めて景色を楽しんでいると、向こうのほうから何かがやってきます。

愛車を入れて写真撮影を楽しみながら、しばし眺めました。

やってきたのは遊覧船です。銀山平と奥只見ダムの間を行き来しています。

湖の上からだと湖岸がよく見えるでしょうね。今回はスケジュールが合わなかったので見送りましたが、次回は乗船してみたいものです。

しばらく進むと、南に開けた場所に出ました。

奥只見湖は谷筋に水が貯まる構造なので、木の根のように入り組んでいるんですよね。

入り組んでいる分、いろいろな景色が楽しめるわけです。

先ほど見えた遊覧船が奥只見ダムの方へ進んでいく様子が見えました。

遊覧船を見送ったら、再び先に進みます。

天気は上々、カーブを曲がるたびに違う景色が広がり、ワクワクが止まりません。

対岸の紅葉も、心なしかピークに近づいているように見えます。

日当たり良好、景色は絶景。たまに車やバイクが通るくらいの静謐な雰囲気と相まって、非日常感あふれる体験です。

中ノ岐川を越えて奥只見湖の深部へ!

しばらく進むと橋を渡ることになります。中ノ岐川にかかるこの橋を越えると、奥只見湖の最深部に入ります。恋ノ岐乗越というピークをを越えた先にある、恋ノ岐出越というピークが今日の折り返し予定地点です。

橋の上から望む奥只見湖です。川のように見えますが湖の一部です。ここからはしばらく登りになります。

登った分、見晴らしがよくなります。自分が通ってきた道が眼下に見渡せます。見えているのになかなか辿り着けないんですけどね。

ディスクブレーキのTCRはやや車重が重ためですが、これくらいのヒルクライムなら問題なし。登った分は下りもあるわけで、下りではディスクブレーキの方が安心感があります。

絶景としか言いようのない景色が次々と眼前に登場します。圧巻です。

山肌に見える白い筋のような場所が、通ってきた道です。自分が今いる場所も、通ってきた道も、どちらもすごい場所にあるもんです。

この見晴らしのよい場所は、洗い越しのひとつです。洗い越しは橋をかけずに沢水を流すため、ガードレールがなくて見晴らしがよいんですよね。ガードレールがない分、危険なのですが、見晴らしは魅力的。ちなみにこの沢の名前は「牛ノクソ沢」です。もう少し違う名前はなかったものか。

しばらく進んでピーク近くに到着です。「恋ノ岐」という名前がステキ。

携帯電話はもちろん圏外なのですが、一部区間では携帯電話が利用可能です。こうやって標識が出る程度には貴重なので、見落とし注意。

手が届きそうな距離に通ってきた道があります。ただし、間には深い峡谷が横たわっていて簡単には辿り着けません。

山肌を切り裂くような道です。まさに秘境。

紅葉のピークを過ぎてこれなら、ピークはいったいどんな状態だろうと気になります。毎週でも足を運ばないと出会えないんでしょうけどね。

見れば見るほどすごい道です。

この道を通ってここまで来ましたし、この道を通って帰るわけです。

しばらくペダルを回して、恋ノ岐出越のピークに到着です。

ここから先は福島県との県境まで下り、その先は尾瀬の御池まで登りになります。県境まで行くことも考えましたが、登り返しを考えると時間的に微妙なので恋ノ岐出越で折り返すことにしました。山中で真っ暗闇のナイトライドは避けたいですからね。

恋ノ岐出越から少し降ったところに、送電鉄塔があります。発電所からの送電用です。

はるか彼方に道が見えます。これから帰る道です。鉄塔の近辺は安全のために樹木が伐採されるので見晴らしがよくなるんですよね。

さて、ぼちぼち帰り始めますか。

下りの途中で、少しだけ奥只見ダムが見えました。次は連絡バスか遊覧船で奥只見ダムに行ってみたいですね。

奥只見からの帰り道

来た道を引き返して帰ります。進む方向も太陽の位置も違って、行きとは違った景色が見られました。たまには往復ルートもよいものです。

恋ノ岐川の周辺は、峡谷の向かい側の道がよく見えます。

日が傾いてきて、西側の斜面に斜光が入るようになりました。紅葉の赤がいっそう際立ちます。

逆に東側は影が差して、体感気温が低くなってきました。山際に日が落ちるまでには山間部を抜けたいところ。

沢の中には、滝になっている場所もありました。行きはダウンヒルで通り過ぎてしまいましたが、帰りはクライムでゆっくりになるので足を止められます。

朝から変わらない晴天です。雲一つない快晴で、ありがたい。

送電線が遠くに見えます。あそこからここまで自転車でやってきたと思うと感慨深い。

アップダウンをこなしながら、先に進んでいきます。

序盤に通った湖畔の道まで帰ってきました。

前を向いても振り返っても、行きとは違った景色が目に入ります。

細かいアップダウンと洗い越しを越えて、先に進みます。行きに通った道なので、精神的に余裕を持って進むことができました。

ビュースポットもバッチリです。

対岸の斜面は西向きなので、夕方の光がよく当たっていました。

うーん、絶景かな。

さらに進んで西向きに進行方向が変わりました。

道が山の陰に入って、少しずつ涼しくなってきました。

行きに通過したグミ沢トンネルです。相変わらず真っ暗です。

銀山平にて

湖畔の道を進んで、銀山平に帰ってきました。ボトルの水が少なくなっていたので、銀山平にある遊覧船の船着場で休憩することにしました。

割と立派な待合所があります。軽食やコーヒーを扱うカフェスペースも併設されています。

お昼ごはんを食べ損ねていたので、けんちん汁をいただきました。他に奥只見湖ゆかりの開高健の名前を冠したご飯もメニューにあったのですが、残念ながら売り切れでした。行きに立ち寄る方がよかったかも。

遊覧船は、ちょうど出航したところでした。次は乗ってみたいですね。

石抱橋を越えて、枝折峠まで今日最後のヒルクライムです。

枝折峠を越えて!

銀山平から枝折峠は、行きとは違って高地からのクライムになるため、獲得標高は300m程度です。

橋を越えたら登りの始まりです。

しばらく登っていくと、眼下には温泉街が広がります。次は白銀の湯に入りたいものです。

西に向かって登っていくので、日陰になって薄暗い雰囲気です。

振り返れば来た道が見えます。思えば遠くに来たものです。

くるくるとペダルを回して、枝折峠のピークに到着です。ピークからは西に向かって下っていくため、夕日の光が斜面に当たって斜面が茜色に染まります。

今だけ、ここだけの絶景を楽しみながら、ダウンヒルをこなしていきます。

黄昏時を見るのは久しぶり。日頃は忙しさにかまけて日没を見る機会が少ないですからね。

山の端の影がよく分かりますね。山肌の白い筋が道です。あの道を通って帰るわけです。

茜色に染まる世界。いつまでも見ていたい。

見ている間にも、刻々と日が沈んで景色が移り変わっていくんですけどね。

ゴールデンアワーという言葉が相応しい絶景です。

日が沈むと真っ暗闇になってしまうので、残り時間を気にしながら進んでいきます。

日没後もしばらくは明るいとはいえ、秋の日は釣瓶落としと言うくらいあっという間に暗くなるので、注意。

夕暮れ時の枝折峠が、今日一番の絶景でした。

冬季閉鎖直前のこの時期に、来られてよかったです。

沈む夕日を追いかけながら、ダウンヒルをこなしていきました。

もちろん、沈む夕日には追いつけるわけはありません。

徐々に世界は夜に包まれていきます。

夜の帳が下りる前に、なんとか山間部を抜けることができました。

小出の市街地を進んで今日のお宿に到着、無事にチェックインできました。明日はもう一つのダム湖である田子倉湖の近くと只見線沿線を進んで会津若松まで行きます。明日も紅葉が見られるといいな。

今回の軌跡

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