Novel

小説「トラペジウム」

劇場版を観て気になったので、原作小説を読んでみました。

高山一実 / トラペジウム

今回は文庫本を選びました。アニメ映画化を記念したキービジュアルの表紙がステキだったので。文庫本の方が持ち運んで読みやすいですし、お値段も手頃ですしね。持ち運びのしやすさなら電子書籍の方が優れていますが、購入したばかりのメタルブックマーカーを使いたかったので紙の書籍にしました。ページをめくる感触もよいものです。

原作小説なので当然ですが、劇場版と同じく主人公の東ゆうの活躍が描かれています。描写が東ゆうの一人称視点なのが小説らしい特徴ですね。劇場版の物語を思い出しながら楽しく読み進めることができました。原作小説は原作であって、劇場版とは異なる点がいろいろとあって面白かったですね。90分のアニメーション作品として成立させるところから逆算して再構成した意図が伺えて興味深い。

特に記憶に残った再構成要素は、東ゆうの計画性にまつわるエピソードです。劇場版では策士っぷり(ただし功を奏せず)を見せていた主人公ですが、原作小説ではもう少し行き当たりばったりでした。工業祭でのライブはチラシを渡されるところからスタートでしたし、西南北の三人がいなくなった後で主人公一人が居残って見たという展開でした。計画性も柔軟性も見る影もなし。

あと、作中で鍵となる写真を撮影したカメラがライカになっていました。劇場版ではソニーが活躍していたのですが、やはりライカブランドの威光なのか!?本家のライカには手が出ないので、ライカブランドの何かを体験してみようかなぁ。

文庫版には、連載していたときの挿絵だったのであろう18枚ものカラーイラストが含まれているのも魅力です。どれも作中の印象的な場面を押さえていて、初見の感動を呼び起こしてくれます。私の初見は劇場版なので、どちらかというと想起されるのは劇場版ですけどね。

小説とアニメーション、異なるメディアで一つの作品に触れた体験は久々でした。複数のメディアで体験すると、作品の世界観をより重層的かつ深く味わうことができると思います。アイドルやバンドに焦点を当てた作品は、音と動きがつくと表現の幅が広がりますし、単純に見ているだけで楽しいです。これからも、いろいろな作品に挑戦して楽しみたいものです。

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